可能か不可能かという伝統的固定概念には、挑戦すべき瞬間があります。

私たちがM Blackデキャンタを生み出したのもそのひとつです。昔ながらの伝統や手法について言われることは多々あれども、世に知られた職人技や鑑識眼はこういったものを土台に築き上げられているのです。とはいえ、一定のリスクがなければ、革新も成長や変化の余地もあり得ません。

Macallan M Blackデキャンタを生み出すために、老舗クリスタルメーカーのLalique社と著名なクリエイティブ・ディレクターのFabien Baron氏と提携した際に、私たちの心にしっかりと刻みこまれていたのは、固定観念を打ち破り、リスクをいとわない精神でした。その目指すところは？クリスタルや伝統的なデキャンタデザイン双方で可能と言われていた限界を超え、真の意味で格別なアイテムを生み出すことです。

数々の大手ファッション・香水ブランドで不動の地位を確立したBaron氏と、クリスタル製品の匠、Lalique社との提携における挑戦は、Macallanの気風と伝統を形にし、同時にユニークで刺激的な方法でクリスタルという素材を活かしたデキャンタを作り出すことでした。

野心的なBaron氏のデザインはLalique社にとって有意義な課題となり、その技術力をほぼ不可能と言われるレベルにまで引き上げる結果となりました。吹きガラスはそれ自体が難しい技術です。しかし、Baron氏が思い描いたように側面に鋭い角度をつけた器を作り出すことは、さまざまな面で根本的な挑戦を突きつけました。しかし、このリスクを引き受けたことで、生み出されたデキャンタはさらに一層満足のいくものとなり、追随を許さない芸術家たちの持つ唯一無二の技術と献身、熟練度を体現した作品となりました。

蒸留される絶対時間を表現：滑らかなブラッククリスタルに凝縮されて出来上がったのは、意表を突く漆黒色の細長い幾何学形のデキャンタ。その特徴的な6面はMacallanを支える6つの柱を表現しています。この柱はMacallanのあらゆる行動を方向づけ、その特徴を決定づける指針です。「M Black」の名前は、鋭い角度のついたデキャンタ正面の姿にインスピレーションを得たものです。上から下へすっきりと伸びたラインが「M」の文字を形作り、デキャンタ自体の持つシャープなデザインが完璧なアルファベットを生み出しています。名前の「Black」の部分は、滑らかなラリッククリスタルが生み出した色と、その器に収められたレアウイスキーのダークでスモーキーな味わいの両方を反映させたものです。

一つずつ手作りされたデキャンタは、印象的で妥協のない独創性と伝統を融合させたものです。 その姿からは見るたびに美と完全性がにじみ、その色には闇と謎が秘められています。René Lalique氏は、闇と透明性という類まれな組み合わせが持つパワーを熟知していました。Macallan M Blackデキャンタは、見事な深みと特徴を持つブラッククリスタルの現代的な魅力を放ち、デキャンタの現代的な芸術性をまったく新たなレベルへと引き上げました。